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2011.03.11【人事労務のポイント】就業規則「この条文がポイント」

 

顧問先の皆様、普段お世話になっている皆様はじめ、
名刺交換、セミナーにお越しになった方、
メルマガ登録、ダウンロードしていただいた方等に
お送りしております。

こんにちは。
社会保険労務士の鈴木早苗です。

■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
≪今日の内容≫
【人事労務のポイント】就業規則「この条文がポイント」
~退職の申し出はいつまでに行うものか~                   
──────────────────────────────────
一気に暖かくなるかと思うと、急に寒くなったり。
なかなか思わせぶりな気候が続いています。
これこそが三寒四温でしょうか。
一足先に花粉症は到来していますが、ゆっくりですが、少しずつ
季節も春になっていくのでしょう。

 さて、先週金曜日は杉並の商工会議所で就業規則のセミナー講師を
務めさせていただきました。
メルマガでも1度だけご案内したのですが、メルマガをご覧になって
参加いただいた方が何名かおられたようです。
この場を借りてあらためて御礼申し上げます。
セミナー始め、気がつけば今月は就業規則のチェックや変更で
8社ほど就業規則を拝見させていただいています。
定めている章の項目はほぼ同じなのですが、内容も言い回しも
案外独自色があるものです。見えてくる組織風土もあります。

 今日は、就業規則「この条文がポイント」退職の申し出(手続き)
についてです。

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鈴木社会保険労務士事務所 様の会社では、自己都合退職の場合、
何日前に願い出ることと就業規則に規定していますか?

ひな形を見てみると---------------------------------------------------
従業員が自己の都合により退職しようとするときは、少なくとも14日前まで
に、所定の退職届により退職の申し出をしなければならない。
---------------------------------------------------------------------
出典:愛知県「わかりやすい中小企業と就業規則」より
http://www.pref.aichi.jp/0000007060.html

確かに間違いではありませんが、これで会社のリスクはないでしょうか?

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■【人事労務のポイント】退職の申し出はいつまでに行うものか                
──────────────────────────────────
14日前の申し出って、けっこう退職日まで短いですよね。
大企業以上に、中小企業の方は、ひとりで何役も仕事をこなすのが
普通です。
そのうちの誰か1人に、14日前に辞めますと言われて、引継ぎは
ちゃんとできるでしょうか?

 最終出勤日のあいさつで、
「またわからないことが出てきたら電話してもいい?」って
上司の言葉、そう言えば聞いたことがあったような。。。
そうかと思えば、「辞めさせてください」と言うと、
従業員を家族のように思っているがゆえに、裏切られたような
気がして「もう出てこなくていい!」と言ってしまう社長も
おられますね。

 心情はさておき、現場としては、ただでさえ忙しいのに、引継ぎに
充てられるのが2週間では満足には出来ないかもしれませんよね。
退職する従業員が残った有給を取得するため、退職の申し出の翌日
から退職日まで有給休暇の消化に入る、なんてことも十分可能性が
ありますよね。

 これって会社のリスクではないですか?
会社は何にもできないのでしょうか?

─────── ∞ ─────── ∞ ─────── ∞ ───────

 前述の愛知県のひな形の解説にはこう書いています。
「14日前まで」というのは、民法第627条の規定を参考
にしたもので、何日前まで認められるかについては、学説・判例
ともに定まっていません。
解雇の予告が30日前までであることから、
退職の申し出についても「30日前」程度までの申し出も可能で
あると思われますが、14日前までの申し出とされることを勧め
ます。
と、説明しています。

 そもそも民法では、期間の定めのない契約はいつでも解約の申し入れを
することができます。
「雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」
(民法627条第1項)と定められています。

これを基にして、多くの会社では、「退職」条文に
「退職を願い出て、会社から承認されたとき又は退職願を提出して
14日を経過した時」と規定されているでしょう。

 確かに、民法の効力発生は2週間なので、労働契約の終了はいつ?と
問われれば、2週間すなわち14日経過した時です。

 このように定めていたら要注意です。
「従業員が退職する場合は、少なくとも30日前に届け出て、会社の承認を
得なければならない」

 どこが問題なのか、わかりますか?
2週間経過すれば、承認がなくても退職は認められます。
退職の自由を制限することはできません。

 だからこそ、「退職手続き」=会社のルールとして、以下のように
定めておきたいものです。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
1.従業員が自己の都合により退職しようとするときは、
原則として1ヶ月以上前に○○(例-所属長等)に
退職願を提出しなければならない。

2.前項で定めたとおり、退職願を提出したものは、
退職の日まで従前の業務に従事するとともに、
所属長(あるいは上司)の指示に従い、必要事項の
引継ぎを完全に行わなければならない。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ 
法的な強制力はありませんが
会社のルールとして
従業員の身分を有する間は、誠実に職務に専念する義務がある
ことを従業員にあらかじめ伝えておくことが重要です。

 → 上記第2項「所属長(あるいは上司)の指示に従い」の部分
退職の手続きに「業務の引継ぎ」を明記することで、退職の要件
が、業務の引継ぎの完了であることを明確にします。
強制力はないですが、円満に退職を望む従業員であれば、明記して
おくことでスムーズな引継ぎができます。 

 従業員が会社のルールを無視して、
引継ぎもせず退職した場合はどうでしょうか?
上記1.2の規定例に続けて、抑止の意味あいで
次のように記載しておくこともよいでしょう。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ 
3.退職を希望する者が、前各項の規定に違反した場合は、懲戒処分の
対象とし、退職金の一部を支給しないことがある。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━  
★ご参考
<退職金の支給をしなかったことが認められなかった判例>
会社の承諾を得ず、一方的に退職した場合に、就業規則に記載が
あったとしても、不支給とすることは、労働基準法第16条賠償
予定の禁止と第24条全額払いの禁止の規定に反するから無効
(昭44.9.26岡山地裁 栗山製麦事件)

 <退職金を支払わなかったことを有効とした判例>
14日前に退職願を提出し、その間従業員としての勤務を継続
すること及びこの間正常に勤務しなかった者には退職金を支給
しない。と、労使間で、覚書を交わしているにも関わらず、
それを守らず、一方的に正常勤務せず退職したタクシー運転手
について、退職金を支払わなかったことを有効とした
(昭57.1.29 大阪地裁 大宝タクシー事件)

実際に、退職金を不支給とすることができるかどうかは、
上記を見ても意見が分かれるようですが、

★規定があるという前提のもと、その違反の程度に応じ、

 退職金の一部又は全部の没収やその他の懲戒処分があり得る

 ことを警告して引き継ぎ業務を促がすことは可能です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★
法律だけを定めるだけでは就業規則の意味がない   
☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 民法の規定は規定として、従業員の義務にも言及して明記しておく
ことが肝心。

 なぜ、ギリギリになって退職を申し出るのか。

 なぜ、退職することが決まってから有給休暇をまとめて消化するのか。

 就業規則の作成、変更時には、説明会の場で周知することは勿論ですが

 ・早めに会社に退職の意思を伝えるという組織風土の醸成
・有給休暇を取得しやすい組織風土の醸成
・引継ぎをせず辞めてしまうことが、会社だけでなく、同僚、周りの
人に大変な迷惑をかけてしまうことを理解させておくことが大事です。

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鈴 木 早 苗
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鈴木社会保険労務士事務所
東京都中野区沼袋2-15-11-301
phone:03-5345-9727 Fax:03-3389-2961
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