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2010.08.20【人事労務のポイント】労災保険と損害賠償責任

 

こんにちは。
鈴木社会保険労務士事務所の鈴木早苗です。

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≪今日の内容≫
   【人事労務のポイント】今日は昨日の続きです!
~これからのメンタルヘルス対策より~
      ・労災保険と損害賠償責任 
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   日本マクドナルドの社長原田泳幸さんが糸井重里さん
   との対談で次のようなことを言っていました。
   
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    セールスプロモーションなんかでも
   「予算達成できませんでした、失敗です」なんていう
   報告を聞いたりするんですが、
   「そのプロモーションをやってなかったらどうなって
   いたかわからないでしょ。少なくとも売れたんだから、
   なぜ売れたのか、次はどうすればもっと売れるのかを
   考えよう」と言ってますね。
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  人事評価制度のフィードバックについて指導させて
   いただくとき、私は、予算に対して90%の達成率で
   あれば、なぜあと10%ができなかったのか、を考える
   より、どうやって90%達成できたのかを評価して
   いきましょう、それが部下の成長につながります、
   と言っています。
   できなかったものをいくら考えてもわからないのです。
   でも、たとえ90%の結果であっても
   成果として出せたことの方法、内容は自分で説明
   できます。
   そこをどう伸ばすか考えましょうと言っています。

  皆さんはどう思われますか?
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【人事労務のポイント】メンタルヘルス対策      
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≪昨日の内容より≫
 
    昨日お伝えしたことをまとめると
    心の病(うつ病)といっても、すべてをひとまとめに
    語ることは、できません。
    画一的な対応ではなく、個別の事例に対して
    しっかり診立てを行うことが求められます。
    会社だけでは適切な判断は難しいので、産業医や
    カウンセラー、保健師らの協力を得ることが近道です。
    会社は単に心の病を抱えた従業員の対応だけでなく、
    職場全体の健康の維持(モチベーションも含めて)を
    視野に入れて対応していく必要があります。  
 
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  ◆まとめ ≪会社として対応しておくべき内容≫
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    ○就業規則の整備
    ○休職事由が発生したときの対応
      従業員が自発的に選択するのではなく会社が命じる
      ことが可能であるという表現を用いる
    ○産業医等の関与(会社指定の医師の確保)
    ○再発時における対応の明示
    ○リハビリ出勤等の設置の有無
      
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   労災保険と損害賠責任
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  ◆労災の現況

  労災において顕著なのは疾病型の増加です。
   労災事故全般(負傷型労災)は減少基調であるにも
   かかわらず、うつ病などの精神疾患による死亡者数は
   ここ10年で6倍に、過重労働による脳・心臓疾患に
   よる死亡者数は同3倍に増えています。 
  
  ◆企業経営の新労務管理リスク

  職場環境に起因して発生する疾病型労災の場合、
   被災労働者などの企業に対する不信感が強く、
   安全配慮義務を怠ったとする企業への損害賠償請求を
   誘因しやすい。これが新労務管理リスクです。

≪判例より≫
S薬品事件(2008年9月17日 名古屋高裁)
  薬剤師として勤務していた被災労働者(労働時間が発症
  直前1カ月は310時間で、休日2日という過重労働)が、
  就寝中に致死性不整脈を発症して死亡した。
  裁判所は、使用者の安全配慮義務を認めたうえ総額8698万
  円の賠償責任を認定した。

J事件(2008年12月8日 東京地裁)
  自動車メーカー向システム開発を行っていた被災労働者が、
  長時間労働となり体調を崩す。抑うつ神経症と認定され、
  自宅療養し約4カ月後に職場復帰したが、職場復帰後1カ月
  後に自殺した。
  裁判所は、3割の過失相殺を認めたが、賠償額として
  7940万円の支払を命じた。

K事件(2010年2月16日 鹿児島地裁)
  長時間勤務の結果、過労で脳に障害を負い、意識不明の
  寝たきり状態になったとして訴えた。
  裁判所は、過労と症状の因果関係を認め、
  「過酷な労働環境を漫然と放置した」と、会社側の
  安全配慮義務違反を認定。将来の介護費用や未払い賃金
  など総額約1億9400万円の支払いを命じた。

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  損害賠償問題、労災発生後の会社の対応
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  「証拠の収集・確保」これがすべてです。

 損害賠償問題となると、事実が誇張される懸念もあり
  複数の関係者から早急に事実関係の存否の確認をとり
  ましょう。
  労災申請については、給付決定は監督署ですが
  可能な限りの事実調査を行って、いつでも具体的な
  説明ができるように準備しておくことが必要です。

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   ■損害賠償請求には不十分な給付額■
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  労災保険だけでは、上で述べた「新労務管理リスク」への
  対応が十分ではありません。

 なぜなら
  労災保険が被災労働者などの保護を主目的として制定
  されているため、企業が被災労働者などから民事の
  損害賠償請求を受ける場合を想定していないからです。

 労災事故が発生し、企業が被災労働者などに対し
  損害賠償義務を負った場合
  民法上の精神的損害(慰謝料)を含む完全な損害賠償額と
  労災保険給付額には大きな開きが生じます。
 
  概算ではありますが、1億円の損害賠償請求額に対し、
  労災保険給付で企業側の損害賠償額が減免できるのは
  1500万円程度です。

 新労務管理リスクの顕在化は、
  労災保険ではカバーされない損害賠償責任の企業負担が
  発生することを意味します。

 疾病型労災は、旧来の負傷型労災と異なり、企業の業種や
  従業員の職種に偏らずに発生します。 

 ◎労災保険料率が高い業種だけのリスクではありません。

  もはや、すべての企業が被災労働者などに対し、

  労災保険でカバーできない損害賠償義務を負う

  新労務管理リスクを抱える時代になってきています。 

 「新労務管理リスク」に対応した民間の損害保険の加入、

  現在加入しているのであれば、給付内容の見直しも

  検討に値するでしょう。
    -疾病型の労災に対応しているか

  民間の損害保険の加入時には、就業規則の整備も

  忘れないように対応してください。
 
   法定外補償額と民事損害賠償額との相殺規定を策定

  することが必要です。

  昨日も最後のところでお伝えしたように

  就業規則本則において

  リスクを想定して、休職、復職のルールを明確に

  定めておくことが重要です。   

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鈴 木 早 苗
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鈴木社会保険労務士事務所
東京都中野区沼袋2-15-11-301
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E-mail:info@suzukey-stone.com
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