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2010.04.09【人事労務のポイント】使える休職規定

 

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こんにちは。
鈴木社会保険労務士事務所の鈴木早苗です。

 新規学卒者初任賃金については4月2日のブログで確認
http://blog.goo.ne.jp/hot-sr/

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前回のメルマガで「社会保険料の削減」について書きました。
削減の知恵の1つとして、休職休職制度の見直しを上げました。

今回は、休職期間について
「どの程度休ませなければならないのか?」
「そもそも休職期間の設定は必要なのか」を
取り上げます。
これは、就業規則の作成、見直しの現場でよくたずねられる
ことでもあります。

皆さんは疑問に思ったことはないですか?

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 当然のように休職と言っていますが、そもそも休職は
社員の当然の権利なのでしょうか?
まず、ここでいう休職は業務外の「私傷病休職」を
指します。

 会社は、安全配慮義務の履行という観点から見て、
病気が原因で仕事が十分に遂行できない社員を
そのまま働かせるべきではないでしょう。
その意味では「社員を休ませる」という考えは正しい
のですが、社員は、病気になった場合に会社を休める
権利が当然に保障されているわけではありません。

 多くの会社の就業規則を見ると、
私傷病休職制度が設けられているのが一般的です。
でも、そもそも私傷病休職制度は
労働基準法など、法律によって制度を設けなければ
ならないとされているものではありません。
制度を導入したとしても、必ず社員が病気になった際に
休むことができる権利(休暇権)が当然に与えられる
ことになるのでもありません。

 じゃあ、制度を設けなくてもいい?

 私傷病休職制度がないとすると
社員が病気になって会社を休むということは、
法的には、労働契約に基づく労務提供義務が十分に果たせ
ないということになります。
このような状態が一時的でなく、
すぐには回復のめどが立たないということになると、
会社側から見ると、労働契約に基づく労務提供義務が
十分に果たされないまま、契約を継続するのは難しい状況
になります。

では、その状況をもって解雇事由とすることができるか?

 就業規則の中で普通解雇の規定をみてみましょう。
「心身の故障により就業に耐えられないとき」という
解雇事由が記載されているとしましょう。
これは、病気により労働契約上の義務が果たせず、
かつ、直ちに回復の見込みがないと事実が発生したことを
指します。

 ここでは、すぐに解雇とするのでなく、
私傷病休職制度を設けることで
休職期間内に当該私傷病が治癒して職場復帰できる
のであるならば、その間は解雇を猶予しましょう
という考えに基づくものです。
つまり、私傷病休職制度は、「休職権」という権利を
労働者に与えているものではなく、会社の解雇猶予と
しての労務提供の免除措置ということになります。

 よって、法律で規定されているのではない以上、

重要なのは会社の就業規則にどう規定されているか、

です。

 なお、私傷病休職制度は、通常は、長期勤続を前提にした
正社員についての適用を予定しています。

 「解雇猶予」と上記で述べましたが、
現在の多くの就業規則では、休職期間満了時に治癒せず
職場復帰ができない場合に、その時点で解雇とする
のではなく、休職期間満了をもって当然に退職と
規定されているのが一般的です。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ──────

実際にどういう記載をするのか実例をあげて、ポイントを
見ていきましょう。

例 第○条(休職事由)
社員が次の各号のいずれかに該当するときは、
休職を命じる。ただし、復職の見込みがない場合を
除く。

⇒※休職を命じる場合がある、と規定している会社も
多いですね。
いずれにしても、必ず「休職を命じる」ものではない
ということです。
休職の条件が整ったとしても、会社に義務が生じる
のではなく、決定権は会社にあるということです。

私の規定例では、復職の見込みがない場合は
休職を認めないということが言いたいのです。

(1)業務外の傷病(以下「私傷病」という)による欠勤
が30日(欠勤中の休日も含む)を超え、その傷病が治癒
しないとき。
なお、治癒とは従来の業務を履病する前と同様に通常
業務遂行できる程度に回復することを意味する。

⇒※欠勤が30日とした場合、実務で日数をカウントするとき
に悩むのがこの欠勤中の休日を含むのか、含まない
のか、です。
含まないとすると、実数は30日よりも増えることに
なりますね。

例 第○条(休職期間とその取扱い)
休職期間のご参考

   勤続期間     休職期間
勤続1年未満      1か月
勤続1年以上3年未満 3か月
勤続3年以上      6か月

⇒※少なくとも中小企業で、休職期間を1年以上としている
場合は、それで実際の業務が回るのかを検討しなければ
なりません。   
勤続年数ごとに期間を設定せず、一律6か月とするのも
問題ありません。
試用期間は除くとするのもよいでしょう。
この期間は雇用保険料と違い、社会保険料が発生します。
社員からの徴収方法についても規定しておくことが必要
ですね。

例 ○.休職を命じられた者が、休職期間満了前に復職した
場合で、復職後30日を経ないで、再び当該休職事由と
同一ないし類似の事由により欠勤したときは、休職を
命じる。
この場合、休職期間は中断せず、前後の期間を通算する。

⇒※特に精神的な疾患については、症状がよくなったかと
思うと悪くなったりと安定しないことが多いので、
「当該休職事由と同一ないし類似の事由で欠勤した場合」
の扱いを明記しておく必要があります。

例 第○条(復職)
社員は、休職期間中に休職事由が消滅したときは、
速やかに復職願を提出するものとし、復職が適当で
あると会社が判断し許可した場合には復職させるもの
とする。

 2.会社は、休職事由が19条1項1号・2号(私傷病・精神
疾患等)による場合には、復職が適当であるかどうか
判断するために、社員に対して医師の治癒証明書
(診断書)の提出を命じることがある。会社が、診断書を
発行した医師に対して、面談の上での事情聴取を求めた
場合、社員はその実現に協力しなければならない。

 3.前項の診断書が提出された場合でも、会社が指定する
医師の治癒証明書(診断書)の提出を命じることが
ある。
この場合に、社員が、正当な理由が無くこれを拒否した
場合には、社員が提出した診断書を休職事由が消滅した
か否かの判断材料として採用しないことがある。

 4.前項までの医師の診断書に関する費用に関しては、
社員が原則として負担するものとする。

5.復職の際には、原則として休職前の職務に就かせること
とする。ただし、やむを得ない事情のある場合には、
休職前の職務と異なる職務に配置することがある。

 6.休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合は、
休職期間の満了の日をもって当然退職とする。

⇒※精神的疾患のような場合社員が復帰したいと考えても、
必ずしも会社の判断と一致しない場合もあります。
よって、上記のような記載が必要になります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★ ポイント!!

就業規則に
「休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合は、
休職期間の満了の日をもって当然退職とする。」として
いても、実際には不当解雇と訴えられる可能性もあります。

・休職期間中の社会保険料の徴収の方法
・休職期間満了しても休職事由が消滅しない場合に退職する
ことの合意
・休職期間中の報告義務

これらを、「覚書」として、休職に入る前に取り交わして
合意しておく。
休職期間満了前に「休職期間満了のお知らせ」などを出して
休職事由が消滅しない場合は当然退職(自動退職)となる
ことを連絡する等が、後々のトラブル回避となります。

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皆さんの会社はいかがですか?

 私傷病休職制度は
法律で規定されたものではないだけに
ひな形を持ってきただけでは運用できず
トラブルの元になります。
実際の運用を意識して、会社で使える規定に
しておくことが、社員のためになり、
かつ、会社のためにもなります。

就業規則の作成は
http://www.suzukey-stone.com/dm/working_regulations.html

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鈴 木 早 苗
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東京都中野区沼袋2-15-11-301
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