「埋没コスト」に引きずられないために、今の人事制度を可視化する

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗です

第036号

「埋没コスト」と呼ばれる費用があります。
辞書では、

すでに支出され、どのような意思決定をしても
回収できない費用のこと。埋没費用。

具体的には、それまでに費やした資金や労力、
時間を惜しんで事業を継続すると、
損失が拡大するおそれがあることから、
意思決定に際して、埋没コストに囚われすぎると
判断を間違えやすい

とあります。

新商品の売り出しに1000万円投資したとして、
途中でその計画が頓挫しても、
その1000万円は戻ってこないお金です。

中止せず、そのまま計画を続けても
1000万円は戻ってくるわけではありません。
この1000万円のことを埋没コストと呼びます。

埋没コストそのものというより、
すでに投下したコスト(お金・時間・労力)を、
「むだにしたくない」と感じるあまり、
計画の中止、続行の判断を誤ってしまう
ことこそ問題です。

ですから、意思決定には埋没コストは無視して、
今後の投資額と利益で判断することです。

身近な事例としては、
社歴の長い会社の新規事業であったり
会社のヒット商品などを、
180度転換して売り出す、というような時に
なかなか決断しきれないというのがあります。

人事や労務についてはどうでしょうか。

新しい取組みをすることは先代の実績を否定
してしまうのではないかと思って、
決断できないというのは、
埋没コストに引きずられていると言えるでしょう。

 

創業者であれば自分の成功体験、
2代目さんや3代目さんが会社を継承するとき

「埋没コスト」をいかに振り切っていくか
という事を考えながら経営することです。
「埋没コスト」から脱却して、
成長戦略を描かなければなりません。

私は、人事制度はまずは現在の人事制度を
可視化してからバージョンアップ等考えましょうと言っています。
支給方法自体には問題がないという前提です。

その場合、これから人事制度をより発展させるために
一旦、今の仕組みを可視化しようとするものです。

人事制度で埋没コストにひきずられて
いることがあるとすれば、
賃金額が評価と一致していない場合
(多くは評価以上に賃金が高い現象)です。

可視化して、あるべき制度に賃金を組み替えたとしても、
支払いすぎた賃金(経費)が戻ってくるわけではない。
人間関係、その他これまで支給し過ぎていた賃金を
どう適正化するかは難しい。

ということが先にたって、新たなところに踏み出す決断に
躊躇することでしょう。

意思決定を間違えないために、
賃金額を評価と合致させるためには、

今のやり方でどれだけの賃金と評価に
ギャップがあるかを可視化させてから、
新制度の導入に進むのが合理的といえます。

現在の評価、賃金を可視化するというのは、
新たな評価、賃金の視点を取り入れるために、

これまで先代がやってきた実績や社員との信頼、
費やした時間や支払ってきた人件費など、
積み上げてきたものを可視化して

社員さんに共有するワンクッションをはさんでから
改善していくというものです。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

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