社員の何を評価するかは教えられない

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗です

第035号

なんだかんだで、今年も掛け持ちで人事制度を作っていますが、
たいてい評価制度から作ります。
賃金の決め方が知りたい、というのがきっかけだとしても、
賃金の決め方=評価 というのがわかっている
社長さんが増えたのか、
賃金制度だけ作ってください
という要望はないですね。

それでも以前は、賃金だけ決めたい
というケースもあったのですが、
今は賃金制度だけ作りたいという会社は、
私への依頼では、聞きません。

ひとつには
そんなに昇給額を大きく出せないので、
額そのものよりも、どうしたら金額が増えるのか、
どうしたら減るのかという仕組みを説明
できるようになりたいという要望に
会社が変化したのではないかと考えています。

作成に入るとき、
評価項目は経営陣で決めてもらいますよ、と
何度も念押しして設計スタートしていても、
他社事例を見せてほしいとか、
考え方を説明するから、
私の代わりに(あなたプロなんだから)
まとめてくれて、文字にして、
という、切なる要望をいただきます。

社長は何も答えを教えてほしいと
言ってるつもりはないのでしょう。
あくまで参考として、ということなのですが、
結果として、答えを教えてほしいと言っていることと
同じになってしまいます。

でも、本当に社長が知りたいことは、
私には教えられないのです。

例えば、成果目標項目を設定します。
何を成果とするか(売上・粗利・生産性・効率など)
数字で示せるものを会社で選んでもらいます。

●これまで何を評価指標としてきたかは、
評価してきた人しかわかりません。
売上を分解すると、
客数×客単価×リピート率に分けて考えることができます。

売上を成果目標としてもよいのですが、
額が大きすぎると、抽象度が高すぎるので、
できれば身近な目標に置き換えたほうが、
社員さんが行動に移り易くなります。

そこで、客数×客単価×リピート率のうち
どれを評価項目に選択するのが、
より自社にとって具体性があるのか、
ここがわかるのは、
これまで実際に評価してきた会社(=たとえば社長)だけです。

どれを選ぶのか、
どうやって選ぶのかを体得してもらうには、
先入観なしに、自分と対峙して、
選択してもらうよりほかにありません。

売上を上げるために社長が考える接客で
もっとも重視する数字は、
客単価を上げることなのか?
組み合わせで売ったり、
リピート率でファン化して売上を作ることなのか?

そこの考え方を見極めて、
評価シートで伝えることでもあります。

ここをしっかり明確にして押さえておいた後、
その項目の定義や着眼点、どう評価するか
というルールを決めていくことになります。

最初のころは、あまりの社長の剣幕のすごさに、
根負けして他社事例を見せることもありました。
今も、自分でどうしてもイメージできない、作れない
と言われると、たたき台の項目を作ることはあります。

でもお見せすると、必ず、
それはちょっと違うなぁという結果になります。
100%そうおっしゃいます。
だから言ったじゃないの~なんです。
私にはホント残念な結果です。

私が残念なだけならよいのですが、

一度答えや参考例を聞いてしまうと、
教わることのハードルが低くなって、
また何かにつけて、聞いてくるようになる
という弊害もあります。

自分がわからないことは聞いて教えてもらいながら
作成するのが当たり前になると、
社員に説明するときも、
教えてその通りやってくれるならと、
ついついご自身も社員さんに、
しょうがないなぁと言いながら、
簡単に教えてしまう傾向があります。

自分で考えていない人が、
社員に自分で考えなさいとも言えませんね。

普段、経営のことは人一倍自分で考えるし、
人に指示されることが厭な社長も

人の問題は人の専門家に頼るもの、と考えて
受け身になりがちです。

でも、
経営もつまるところ人です。
人の問題は経営問題です。

では、
自分が何を選択するかは、
自分で見つけ出すしか
自分を納得させる答えはでません。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

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