賃金の何がわかれば社員は定着する

つまるところ人と組織
社長の想いを語りなおして
思考×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗です

第007号

私は賞与が5万円減額されたことを機に、退職を決意しました。
会社で勤めながら、社会保険労務士の資格を取りましたが、
合格した翌年、退職して開業しました。
資格を取ったら、最初から開業しようと決めていたわけではありません。

今から20年以上前、30社を超える書類選考に落ちた私が、
たまたま登録していた人材紹介会社から紹介されて
やっと入った会社でした。

当初は定年まで勤めたいと思っていましたし、
何より30社以上の会社でNOと言われて
自信を失っていた私を拾ってもらったという恩義を
勝手に感じていました。

ではなぜ、決断したのかというと、
資格取得した翌年の賞与額が
前回より5万円下がったことが背中を押しました。

どうして下がったのか、これは今でも不明です。
いえ、下がったということは、評価が低かったのでしょう。

この会社は、評価シートはありましたが、
本人評価や上司評価を社長が確認するためで、
処遇は経営者が毎回昨年の金額を参考にして
総務部長と社長が決定していました。

決め方とかには興味はなかったですが、
どういう評価をされているのかは、気になりました。

点数とか5段階評価もなかったので、
金額が上がった、下がったで
自分の評価を判断するしかありません。

5万円の減額となると、
いったい私何したんだろうっていう感じです。

社長や総務部長に聞いてみるという選択肢は
不思議と考えつきませんでした。
社長とは秘書として、
同じ部屋で仕事をしていたのに、です。

「不満がある人は聞きにきてください」
という案内はありましたが、
聞きにいく=批判しているととられるのが嫌で
だれも聞きにいく人はいませんでした。

ですから、自己完結ですね。

で、私の場合は、
そうか、評価されていないのか、
というのが直接的なきっかけになって、
退職を決断しました。

解せないのは、
賞与支給日の翌月、退職する日に
社長に呼ばれて、餞別として10万円をいただきました。
これは困惑しました。

今なら、意味合いが違うから、
差し引き5万円多くいただいた、なんて計算はしませんが。

賞与で5万円下がり、お餞別で10万円です。

この現実はどう考えたらいいのかと、
その時の私には理解できなかったのです。
混乱してしまいました。

翌年、ばったり駅で社長と会って立ち話したときも、
これはやっぱり聞けませんでした。
聞いてもそうだったけ?ってはぐらかされそうな気がしました。

そもそも、評価が下がったから減額した、って
言われるのが、やっぱり怖かったから聞けなかったんですね。

耳障りのよくない話で聞きたくないとしても、
評価の結果がわかる仕組みになっていれば、
退職して15年以上たっても、
もやもやしなくてもよかったでしょう。

せめて、私がいた会社も
評価決定したあとに、社員面談の時間を設定する、
という仕組みがあれば、内容はともかく、
もう少し冷静に判断して退職するかどうか
考えたかもしれません。

褒めてあげられる結果であれば、なおさら
金額よりも、言葉にして、認めてあげることが重要です。

聞けるとか聞けないという次元ではなく、
知ることが仕組みになっていることが大切です。

できれば、わかりやすいのがよいです。

評価シートがあって、
本人評価の仕組みを取り入れている会社も、
確定された評価結果を点数で伝えている会社は多くありません。

5段階評価にして、社員に伝えている会社もありますが、
これは、最後に上司評価や、部署の目標達成率などで
加点・減点したり、係数をかけたりするので、
自分の評価は上がったのは、下がったのかは、
スッキリわかるというところまでにはなりません。

いつでも聞きにきてください。
という対応をしている会社もあります。

一見オープンな対応も、
社員には、自己主張が強い人もいれば、
弱い人もいます。

聞きにいけない人もいて、
全員に伝えていないならば、
聞きに来てください、というのは
評価結果を伝える気がないのと同じことです。

会社もできれば賃金を上げたいと思って
昇給額を決定しています。

ただ、これくらい上げようと思う額と
本人がくれくらいは上がるだろうという予想額が
離れていると、優秀な社員は定着しません。

社員に定着してもらおうと考えるなら、
賃金を上げることも大切ですが、
何を評価するのか、
評価の基準(ものさし)を提示して、

今、あなたはこのあたりにいますよ、と
まずは伝えて、現在値を共有することです。

毎年処遇を決定している会社なら、
基準は存在しますから、
必ず、社員の現在値を伝えることは可能です。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

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